そもそも「芳更」という名前は、元を辿れば地名から来ている。母の実家が北海道函館市の桔梗町にあり、主に小学校時代はよくそこに訪れていた。その縁から使いたいと思ったのかもしれない。漢字のつくり部分を音読みにし、意味の良い字を調べて当てはめて今のようになった。
昔は毎年のように函館へ行き、観光地巡りや乗馬体験などをしていたものだったが、中学生になった辺りからはめっきり足が遠くなってしまった。最後に旅行したのも五年ほど前で、市内にある文学館やアイヌの資料館などを見に行った。幼少期以来の函館山からの夜景を見るべくロープウェイには乗ったものの、途中から雨が強くなってきて肝心の風景は見られず仕舞いとなった。霧が出ていて絶望的かと思えていたのに、山頂のレストランで母と待っているうちに晴れて夜景が見えるようになった昔のあの時こそ、幸運だったのかもしれない。
ところで明治時代には桔梗町辺りに園田牧場という場所があり、サラブレッドなどを育てていたらしい。そこの経営をしていた人物の子孫が、今も活躍している武豊騎手とのことで、この事実を知った時はにやりとしてしまった。今は観戦を休んではいるが、好きなことに繋がりがあるとは面白いものだった。