異端の少女が遭遇する、魔法国家の非日常
魔術や魔法が一般的である国家・ライニアに生まれたレンは、ある事件を境に今まで使えないと思っていた魔法を使えるようになる。国土を消却していく者、真の神を呼ぼうとする者、国内最高の栄誉を持つ大魔法使いらとの対峙を経て、かつて国内に混乱をもたらした大乱の足音が再び迫り寄る。
全てを白紙に
白い世界で魔法が目覚める
「白紙郷」を名乗る組織により、魔法の栄える国・ライニアの国土が消されていく事件が発生した。「かっこよさ」にこだわる少女・レンは、騒ぎから逃げているだけで良いのか悩む中、友人のリリと共に避難する。消したものを元に戻す道具「虹筆」の存在を知り、それを探しに行くことにしたレンは、やがて「白紙郷」の裏に隠された真実に立ち向かう。
舞台:2018年春
全3章
第一章 消却迫る
ライニアで皆が使えている魔術を一向に扱えないまま、レンは中等学校の春休みに突入した。そこに「白紙郷」が住んでいる村を襲い、レンの家族を消却してしまう。同時に魔術が使えるようになり、戸惑う中で友人のリリと外へ避難する。やがてアーウィンという男に「虹筆」の話を聞き、彼を手伝って「虹筆」を探しに行くことにするが、先では予期せぬ戦いが待ち受けていた。
第二章 イホノ湖動乱
防御の魔術を得意とするルネイを仲間に加え、レンたちは「虹筆」のあるイホノ湖を目指す。しかし謎の女・シランにリリを攫われ、「白紙郷」を追うライニア陸軍の協力を得てついに湖に辿り着く。策略が交錯する中、レンは思いもしなかった真実に遭遇する。
第三章 日常に帰る日
裏切った者と再び話したい。その願いを抱えて、レンは「白紙郷」の本拠地へ赴く。消却はライニアのほぼ全てを白く染め、残されていた地域にも魔の手が忍び寄っていた。やがてレンは、「白紙郷」を率いる者と対峙し、事件を起こした裏にある悲哀を知る。その言葉を聞きながらも心を固め、レンは敵へ銃口を向ける。
神住む湖
求める願いの先に、真の神を見る
ライニアの神話にも伝わる神の住む湖・イホノ湖に異変が起きていた。畔でアーウィンの笛が鳴らなくなったことに始まり、普段は見られない人々の群れが集い、怪しい動きが見られるようになる。自分には関係ないとも考えていたレンだったが、やがて友らが事件に巻き込まれたことから再び魔法が使えるようになる。落ち着ける日常を取り戻すためにレンが向かった湖に、架空の存在と思われていた神が現れる。
舞台:2018年春(「白紙郷」による事件が起きた後)
全3章
第一章 迫る異変
中等学校の新学期が始まり、レンは入学当初から付きまとってくる同級生・カルマに頭を痛めていた。そんな彼からイホノ湖の畔で起きている異常を聞くも、興味を持てずにいる。やがてイホノ湖に住むライニア神話の神を下ろそうとする男・トープが本格的に動きだし、カルマも彼に捕らえられてしまう。トープの思惑にレンが疑問を感じる中、事態はさらに進展しようとしていた。
第二章 平穏と騒動の狭間で
計画を聞き出したアーウィンから、レンはトープの狙いを知る。脅かされる日常を取り戻すために戦うべきか迷うレンに対して、友人のリリは躍起になっていた。普段とは違う様子の彼女が姿を消し、ついにレンは行動を決める。
そのころカルマは、神を降臨させる鍵となる女・セレストと共に脱出を企てていた。特殊な体質を持つ彼女を気遣いながら外へ出ようとしたカルマだったが、そこにトープの脅威が迫りつつあった。
第三章 ライニアの神
友を助けに向かったイホノ湖で、レンは神が下ろされようとする現場に遭遇する。神話に傾倒する人々、彼らの心と魔力を無意識に取り込むセレストが利用される様に、レンは憤慨を覚える。混乱の末に神はトープの狙い通りに呼び出された――かに思えたが、そこには彼の見落としていた裏が隠されていた。事態はそれだけでは終わらず、やがてその場の誰もが予想していなかった事態が発生する。