蒐集家、久遠に出会う
刑部姫 Osakabe-hime
「戸惑われるのも無理はないでしょう。何せ、私が先ほど考えた冗談ですので」
突如「七分咲き」に運ばれてきた、「久遠」と呼ばれる人造人間。自らが人に頼られることを喜びとしており、それを久遠の役目と考えている。仕事をしっかりとやってくれるが、自身の判断で人間が予想もしない行動を取ることもある。
彦根 直 Hikone Naoshi
「人には、人にしか出来ないことがある。姫路は久遠を素晴らしいと見ているようだが、あいつには負けられない……!」
久遠を製造・研究する「久遠研究所」の職員。しかし久遠がこの世界に広がることを懸念しており、姫路好古の計画にも警戒している。思ったことを口に出してしまう性格で、いくらか自分勝手にも見える。ただ、その裏には純粋な熱い思いがあり、悪気があるわけではない。
姫路 好古 Himeji Yoshifuru
「皆さんの活動が、わたしは興味深かったのです。わたしも文化を守りたくて、久遠を作っていますから」
かつて「久遠研究所」に属していた青年。今は個人で久遠を製造しており、特に恩師・二条元家を久遠として再現しようとしていることで彦根に警戒されている。落ち着いているように見えるが決めたことには頑固で、こだわりが強い。自分の作った久遠を助手としているが、振り回されることが多いらしい。
深志 百花 Fikashi Momoka
「私たちの動きを止められる筋合いはありません。この世界を良くするために、久遠を広めようとしているのですから」
「久遠研究所」の所長。久遠の生まれた異世界の国・能鉾の出身で、科学の発展してきた中で暮らしてきたためか合理的・現実的な考えをする。そのためこの世界に住む部下たちと価値観が合わないこともある。彦根たちが揉めている二条の件には、中立の立場を示している。
林 長時 Hayashi Nagatoki
「きっと将来は、町に久遠があふれて、接客も案内も、わたしみたいな秘書業もみんな――」
「久遠研究所」所長である深志百花の秘書にして夫。仕事に忠実かつ控え目な性格で、彦根のような親しい人間にも必要以上に関わろうとしない。あえて影を薄くしているように振る舞うのは、なかなか明かせない理由があるらしい。
二条 元家 Nijo Motoie
「……それで良いんだ。わたしのことは誰にも知られなくて良い」
姫路や彦根、及び「久遠研究所」の人々にとって恩人であった存在が、姫路の手によって若いころの姿で作られた久遠。スキャンされた記憶を頼りに、生前の二条がしていたことへ忠実に動こうとする。そのため、姫路が困惑するほどの変貌を見せてしまった。よそよそしく無口な様は、本当の二条元家を映しているのか……?